新しい制度を始める時@



新しい制度を始める時@
障害者自立支援法が実施されて、当事者や関係者から批判があがって
いる。それまで自己負担のなかったサービスに自己負担が課せられた
り、サービス時間等の限度が厳しくなったからである。ここで細かな論議
はしないが、今回お話したいのは、この制度導入にもみられる官僚の騙
しのようなやり方である。このやり方は、介護や福祉の場面だけではなく
ダムや原発誘致や基地問題、経済施策にも見られ、その度に腹立たしい
思いをしている。簡単に言えば、何か反対が予想される施策を国が導入
する場合、その抵抗を少なくするため、最初は金やサービスをばら撒き
施策を実施するが、落ち着いたところでその本性をあらわにし、引き締め
るというものだ。
障害者自立支援法の導入時でも、このようなことが行われ仲間の訪問介
護事業所の中にもこのサービスが出来るように申請し指定事業所になっ
たものも多くあった。同時期に介護保険では生活援助が1時間半で打ち
切りになり、訪問介護事業所の多くは仕事が少なくなったから、支援法の
仕事で穴埋めをしようとの指定申請だから当然とも言える。
支援法のサービスの種類や使える時間は役所が決めるのだが、導入当
初は大盤振る舞いをし、その上自己負担の免除もあった。なにしろ役所
はその導入のためなら何でもやったようだ。だから、そのサービスの指定
を受けた事業所は介護保険の売り上げ減を穴埋めする形になったのだ。
しかし、この4月までには本格的な引き締めが行われ事業者に支払われ
る報酬は激減した。利用者さんには、事業所に支払われる報酬が減れば
その一割の自己負担分も減るから「利用しやすい」との説明がなされたよ
うだ。だから事業所側としても痛いところをつかれて文句も言えなかった
のかもしれない。しかし、利用者さんとしても自己負担は減ったものの、安
くなった報酬により、利用できる事業所が減ったら、それは利益となった
かは疑問である。よく考えてみると、高齢者を集め商品を格安でばら撒
き、いつの間にか高額な商品を売りつける悪徳商法と同じ手口のようだ。
私は個人的に精神障害者のデイケアに行っているが、自己負担額が大
幅に増えた頃から、通ってくる患者さんが明らかに減ってしまった。精神
障害者に限らずだが、障害者は家族に経済的負担がかけられなかった
り、自分の意見を伝えることが出来なかったりするからこういった制度変
更に抵抗がしにくい。
だが、最近<自殺9年連続で3万人台 未成年と高齢者増加>との報告
がなされた。福祉や介護の行政が騙しのような手法を使っていいものか
疑問が残る。何をしているのか!腹立たしい。実は介護保険導入にも同
じようなことが行われていたとも聞いた。それが今回のコムスン事件に係
わっていると思うので、そのあたりは次回に。