新しい制度を始める時A



新しい制度を始める時A
新しい制度と言えば、介護保険制度自体が新しい制度である。2000年
の介護保険法実施の時は、大変な混乱だったと聞く。民間参入、ケアマ
ネ制度、選択の自由、ホームヘルパー資格の新設等と初めてのことが
混乱を招いたのだろう。だが、超高齢化社会を目前になんとか制度を
軌道に乗せたかった国は、その数値目標達成と予算消化にやっきにな
っていたと思う。その為だけではないと思うが、介護保険制度は2000年
の実施直後から迷走状態になってしまった。そして、ここにきてコムスン
の問題である。どうしてだろう?私の少ない経験と知識だが、思ったこと
を書いてみる。
私は2000年にホームヘルパー2級の資格をとり、2003年に訪問介護事
業所を立ち上げた。思えば、2000年からの2年位は、資格講座バブル
の時期だった。7〜8万円を払っての資格講座は大繁盛。ホームヘルパ
ーは時給も比較的高く、生活援助中心で仕事も簡単。その上「ありがと
う」と言ってもらえ、人の為になる仕事との宣伝に主婦たちは殺到した。
しかし、働き口はなかった。デイサービスなど事業所の開設が間に合わ
なかったこともあるが、なにより利用者さんの方も他人が家に入ってくる
のに抵抗があった。また、利用はしてみたものの介護する側に経験が
ないので、期待はずれのサービスでやめてしまう利用者さんも多かった
ようだ。だから、私が事業所を立ち上げた2003年位は、介護認定は受
けているものの、実際にサービスを利用している人が少ない事に役所も
頭を悩ませていた。一方で「スナックに連れて行け」「庭仕事をしてくれ」
などの疑問なサービスの問題が取り上げられたのもこの頃と思う。
だが、今考えるとホームヘルパーの数、介護保険認定数、利用実績な
どの目標数値獲得を行政が焦るあまりに、介護保険制度は混乱の道
を歩み始めたと思う。目標数値達成のためには「行け行けドンドン」そ
の介護バブルの中でいい思いをした事業所は多い。そこで、サービス
の規制の始まりだ。通院は病院玄関まで。散歩はいけない。生活援助
と生活援助の間は2時間空けないとだめ。しかし、一度甘い汁を吸った
業者は、次から次へと不必要でも利益の上がるサービスを考える。い
たちごっこだ。だから、不正請求の出やすいサービスは大枠禁止となっ
た。それでも、ダラダラと行われる生活援助が続いていると考えた国
は、今回の改正で生活援助の限度を一時間半とした。そして、安易に
高い介護度が認定され、無駄に保険が使われていると考えて、予防介
護導入としたのではないだろうか?別に今回の改正に反対するつもり
はないが、なにやら新しい制度を始めるときは反対勢力を押し込めるた
めに飴を配り、その後規制を強化する手法はそろそろやめにしてもらい
た。その方法は混乱を招き、かえって理想への道を遠くするように思
う。国は真に国民を信用し、国民に対して率直に話すべきである。そこ
に私利私欲が存在してはならないはずである。