テレビコマーシャルを見なくなった。バブル崩壊直後の就職氷河期の頃から 始まった正社員を減らしてパート、バイト、派遣等々で人件費を削り大手企 業を救った政策の変更が進んでいる。中でも派遣は大企業が直接求人しな くていいし、労働条件、福利厚生、昇進を考えないでその時必要な仕事の出 来る人材を集めることが出来るのでバブルの事後処理を進めるには欠かせ ない存在だった。だから、大量のコマーシャルでそれまでは聞いたことも無 かった派遣を新しく格好のいい働き方として国民の間に定着させるのに、大 企業や政府も法改正までして力を入れてきた。 しかし、それをやめて今までの派遣会社を再編し就職斡旋にシフトしている ようである。どうしてそうなったのかは知らないが、就職氷河期で正社員には なれず団塊ジュニア世代に「これでは結婚も出来ない」とか、統計的に「切れ る」犯罪が多い?とか言われているからそうなったのかもしれない。バブル 経済を詳しく分析したことがないので、大まかなことしか言えないが、「金利 ゼロ政策」がバブルの大元であったことは間違いない。当時「金利ゼロ政策」 は不況対策と言われていた。しかし、政府の膨大な借金の金利にも「金利ゼ ロ政策」が連動しているので、借金の返済に追われている政府は金利ゼロ 政策転換に消極的とは言われていた。政府は金利を上げたくない、企業は 投機に走り、民間の給与も人事院勧告も上がる。だから、良識のある人々 の批判にもかかわらずバブルはなかなかやめられなかった。 しかし、本来の生産を伴わない好景気が続くわけも無く、天井を打った地価 の下落、大手金融機関の崩壊からバブルは崩壊した。貸し渋り、貸し剥が し、倒産、リストラ、そして就職氷河期、ここに出現したのが派遣である。派 遣はバブルの後片付けをする企業を救った。その上、直接の労働組合人で はないから、労組の弱体化にも意味があった。だから、企業はバブルの後 片付け終了後も派遣や業務請負会社との契約をやめようとしない。その人 数が全従業員の1/3に迫ってでもある。 だが、派遣のようなことが大量にまた長期に続けば、会社全体ひいては社会 全体の歪につながることは誰の目にも明らかだ。経営者の従業員に対する 責任の喪失は、経営全体に対する責任の喪失、モラルの喪失にもつながっ ていったような気がする。最近の企業が起こす数々の事故や事件報道に接 するたびに、その経営者の行動や言動にびっくりしている。社会がバブルに よって受けた傷の痛みは、後になるほど強烈かもしれない。 今回の派遣斡旋業界の再編でどのような事になるのかは知らないが、散々 だった団塊ジュニア世代に幸運なものになればと祈るのみである。 |