金さん銀さんに学ぶ



金さん銀さんに学ぶ
金さん銀さんブームが懐かしくなっている自分に気がついた。調べてみると
コマーシャルやワイドショーで話題となっていたのは1993年位からであっ
た。そして、姉の金さんは2000年に107歳で、妹の銀さんは2001年に
108歳で亡くなられていた。
金さん銀さんは、沢山の語録を残されている。「よくしゃべり、よく笑わに
ゃ、それが長生きの秘訣」「感謝忘れたら人間だめになる。有難や有難
や」「悲しいことは考えん方がええ、楽しいことを夢見ることだよ」なるほどと
思うことから、少々耳の痛いことまであったような気がする。
さて、金さん銀さんのことと言うと、その食事のメニューを思い出す。夕食
は季節の魚の煮付けで、翌朝のおじやはその魚の煮凝りでご飯を煮たも
のであったと言うことだ。まるで、私の子供の頃のおかずが貴重な時代の
ようで、今でもその話題は鮮明に覚えている。そして、シルバーカーを押し
ての歩行は大切な日課と言ってみえたと思う。
魚の煮凝りとは、砂糖と醤油に魚のダシが溶け出し、魚に含まれるゼラチ
ンで冷えて固まったものの事だ。元気に歳を召されていた原因の一つは、
このゼラチンを毎日摂って、歩行のリハビリを欠かさなかったことのように
思う。
膝関節を丈夫に保つには、このゼラチンがいい。ゼラチンの中身はヒアル
ロン酸やコラーゲンだ。そんな補助食品のコマーシャルが放映されたり、ネ
ットの通信販売では魚の煮凝りが高価に販売されている。関節痛防止の
補助食品販売は、今や立派に商売として成り立つらしい。
今更、「おかずの乏しかった昔は、魚の煮汁をご飯にかけて食べたもの
だ」とか言ってみても、冷凍食品の便利さを知ってしまった人には馬の耳に
念仏だろう。だから煮凝りをせっせと食べろとは言わない。しかし、ゼラチ
ン、コラーゲン、ヒアルロン酸が、石油や畑から取れたという話は今のとこ
ろ聞かないので、それらの原料は魚や肉なのだ。
魚や肉を茹でたり、加熱すればゼラチンは抽出できる。ゼラチンを抽出し
た後の魚や肉は冷凍食品の原料に使える。冷凍食品生産の副産物として
ゼラチンは格安に生産可能だ。それを補助食品に加工すれば売れるよう
になったのなら、こんなに妙味のある話はない。
現代人は金さん銀さんのように、魚の煮汁をきちんと利用する術を知らな
いから、煮汁など余分なものは捨ててしまうだろう。それどころか魚を煮る
ことなどしないで、ゼラチンを抜き取られた冷凍食品を有り難く食べている
のだとしたら不幸な話かもしれない。
当社のホームヘルパーも魚の煮汁は臭いそうで、口に運ぼうとはしない。
だから関節痛予防のため、当社にも健康補助食品を常備する時代が来る
かもしれない。
なにしろ、膝関節痛のホームヘルパーはいただけない。