酒と高齢者2(ショップ前にて)



酒と高齢者2(ショップ前にて)
コンビニの前で、酒やビールを飲んでいる高齢者を二人ほど見かける。私
が毎日同じ時間にそこを通ると決まったわけではないが、夜8時頃なら決
まってどちらかの方を見かける。きっと、毎日飲まなくてはいられなくなって
しまったのだろう。主婦の中にもキッチンドリンカーというのがあって、料理
をしながら飲酒をするのが習慣になってしまった人が多くなっているような
ので、今やアルコール問題は男性だけのものではない。仕事にしろ、家庭
にしろ、悩みが多い世の中なので、誰かと飲んで発散できるならいいが、家
族とか同僚とかと飲酒するのではなく路上や台所など通常飲酒しない場所
で飲むのが日常になってはどこかおかしい。すでに家族や友人には見せら
れない自分の飲酒への執着が始まっているのだろう。そうでなくとも、大量
で長期の飲酒は体だけでなく、脳や神経にも悪影響を与える。アルコール
が脳や神経に影響を与えだせば、依存症への道を歩き出したことになる。
よく飲酒した日の記憶がなかったり、飲酒により体がふらついたりするが、
飲酒を一日ぐらい止めていれば回復する。しかし、回復するかしないうちに
また飲酒すれば、心地よい酔いの中で、自分自身としては問題とは意識さ
れないだろう。結局、飲酒による脳や神経への悪影響は日常的飲酒習慣
によって、自覚されないまま進行していくようだ。飲酒による心身への悪影
響の度合いは個人差があるが、たいていの場合肝臓がやられて内科医の
お世話になる。ここで、日常的飲酒習慣から抜け出せればいいが、アルコ
ールはモルヒネにつぐ依存性の高い薬物なので、止められないことが多
い。この時期になると、家族とか同僚に飲酒の問題を指摘されることも多く
なるので、その人達に知られないような飲み方をするようになる。その一例
が、通常飲酒する場所ではない路上や台所での飲酒なのだ。
最近はアルコールの問題をテレビやマスコミでも取り上げるので、その怖さ
を一般的にも認識してくれるようになったが、まだ内科医でも肝臓の疾病だ
けの治療にとどめ、アルコール依存症の治療を薦める所は少ないようだ。
そうでなくともアルコール依存症の治療は精神科となるので、敷居が高く本
人も行きたがらないので治療を受けないままの依存症患者は減らない。治
療を受けないままの依存症患者は、先に身体に重大な症状が出ればそれ
で入院になるし、運が悪ければ吐血などをして死亡する。治療が始まっても断酒できなくて、転倒や交通事故、心不全や食道静脈瘤の病名で90パー
セン以上の患者さんが死亡する。ただ死因の病名がアルコール依存症と
ならないので解らないだけだ。
今後は、アルコール問題を抱えながら介護を必要とする方が増えてくるよう
に思う。この場合も医療との連携は欠かせない。しかし、医療との連携は
精神科に限らず進んでいない現実がある。すなわち、原則として医師への
連絡や診察同行は介護保険の対象とはならない。行政当局には、このよう
な現実に着目して適切な保険運用を望みたいものである。