エアーベッドもいろいろ1



エアーベッドもいろいろ1

寝返りが出来ないくらい身体能力が減退すると、床ずれの危険が出てく
る。それは、以前から入院病棟や居宅での看護や介護の大きな問題
だ。以前は同じ場所に圧がかかり続けないように、2時間で体位変換し
て予防していた。床ずれが出来たのがわかり次第、消毒して軟膏を塗
布しガーゼを当てる。しかし、これがなかなか治らなくて問題であった。
そこで近年登場したのが、特殊なフィルムやディオアクティブ(褥瘡専用
治療資材)を貼り付けて治療する方法。それにラップ療法だ。当社は、
まだ特殊なフィルムやディオアクティブが出まわる前で往診も少ない時
代に、医師の指導のもとラップ療法で対応していたので、どうしても新し
い治療素材になじめなかった。
しかし、消毒してガーゼを貼る治療はさておき、その他の方法ならホー
ムヘルパーの仕事は、傷口に余分な圧力や引っ張りなどの力を加えな
いようにする除圧と傷(床ずれ)が治るだけの栄養補給であることに気
がついた。
ホームヘルパーの仕事は、治療ではなく生活を支える仕事なので、別
に医療の側がどんな治療方法をとってもらっても構わないが、居宅での
治療となるとホームヘルパーのサービスが回数も時間も多くなるのでホ
ームヘルパーがどのように対処するかで回復は左右される。
どんな療法が良いかは、傷の状態もさることながら、体位変換がどれく
らい可能か、食事の状態など、その他の条件によっても決まるし、回復
が思わしくなければ途中での変更はある。ホームヘルパーに許される
傷の治療は、小さなもの、悪化の心配のないものなど限定的であるし、
医療との連携は欠かせないので、そのあたりは注意しなければならな
い。
医療との連携が出来て、傷に対する治療法が決まれば、毎日の除圧と
栄養補給がホームヘルパーの主要な仕事になる。傷口を圧迫していて
は、新しい皮膚が再生される余地がない。同時に、食べた栄養が傷を
治癒するに足るものでなければ、皮膚の回復は無いというわけである。
なにしろどんなに適切な治療法がとられたとしても、この除圧と栄養補
給が出来なければ回復は望めないから頑張ってやるのである。
救世主のはずのエアーベッドも、床ずれの予防や悪化を防げるが、側
臥位の安定が悪い。床ずれに危険があるくらいの利用者さんなら嚥下
障害の心配もあるだろう。そのあたりを何回かに別けて考えてみること
にする。