今こそ居宅で生活したいとの声を

今こそ居宅で生活したいとの声を

 4月からの介護保険改正で、生活援助が1時間半以上はカットになりまし
た。私たちの事業所では、従来より「食材の調達と調理サービス」に加え、
買い物などの用件をサービスに入る前に利用者さんから伺って利用時間短
縮にご協力いただいておりましたので、これについては大きな影響はないよ
うです。
しかし、今回導入された予防介護と認定される利用者さんについては、月額
一括の介護報酬支払いとなるため、相当のサービス計画変更が予想されま
す。なかでも、訪問介護事業所を2社以上選択されている方は1社に絞るな
どの変更も多いと思います。それにも増して、今までは要支援と要介護1で
認定されていた利用者さんの中には、新設された予防介護となり今までの
サービスより大幅な変更を余儀なくされる場合もあるかも知れません。特に
月額報酬で訪問回数等がどうしても足りないとかの利用者さんが見えました
ら是非ご相談ください。疑問点、要望はいつでもお答えしたいと思います。
さて、この間も新聞でお話してきましたが、私たちホームヘルパーは、「在宅
を支える」ことを仕事として全力で取り組んできましたが、介護保険制度とそ
の運用の全体に関しては、有料老人ホーム、グループホームを含めた「施
設系」に大きく舵を取られ、「在宅」の影がいよいよ薄くなりつつあります。第
一、職員が集まりません。当社立ち上げの頃、1人2人は応募のあった介
護福祉士はここ3年ゼロですし、ホームヘルパー2級の方の応募も当社だ
けでなく、訪問介護では少なくなっています。ホームヘルパー2級廃止?介
護福祉士1本化?これは、2000年以前など一時代前の教育しか受けるこ
とができなかったヘルパーへのスピーカー行為ともとれますが、この流れも
手伝い、細々と続いていたホームヘルパー2級講座は今後閉鎖となるとこ
ろも出てくるでしょう。
また、今回の改正の実態が明らかになるにつれて、事業所の在宅からの
「縮小」「撤退」もあるようです。「在宅」が危機なのです。昨年10月には特別
養護老人ホームや老人健康保健施設の料金に部屋代と食事代などのホテ
ルコストが上乗せされ、月額13万+αは覚悟しなくてはならなくなりました。
有料老人ホームにいたっては最低20万です。年金が当てにならない今、本
来なら団塊世代が65歳になろうとするこの時期に、在宅でサービスができ
るホームヘルパーを大量に育てなければいけないのに、このようなことにな
ってしまっていることを残念に思います。
確かに、私たちホームヘルパーにも改正の原因となる問題もありました。
「制度上の規制はわかるが、本当に必要なこともやってくれない」とか「2時
間以下では来てくれなくて、無駄が多い」など、様々な批判がありました。し
かし、その批判はホームヘルパー自身に向けられると同時に、そのようなこ
とを許してきた行政と特に指導団体にも向けられているのではないでしょう
か?そして訪問介護事業の影が薄くなってきた。今回の改正にいたって、事
業所の閉鎖やホームヘルパー職の離職は仕方ない面もあるでしょう。しか
し、このごたごたの中で取り残される利用者さんが出ないか心配です。とは
言うものの、今回の改正は大筋だけ発表されて、詳細は後でまた変更もあ
りと行政からは説明されています。またも改正の趣旨はねじまげられ、発言
権の大きい人たちの手垢にまみれた実態となってしまうのでしょうか。とに
かく介護保険法が施行されてから初めての大改正です。良い所もあればそ
うでない所もあると思います。改正は改正です。これを受け止め、実際に居
宅で運用していくのは私たちホームヘルパーです。私たちは「自宅で暮らし
たい」と考える利用者さんと切磋琢磨しながらも、共にこの地域で生活する
ホームヘルパーでありたいと思っています。この地区にも、改正を受けて地
域包括支援センターができます。地域での相談や新たに新設される予防介
護のケアプラン制作にあたることになると言います。私たちは「自宅で暮らし
たい」そう声を上げていきましょう。