昔?新ゴールドプランがあった(1)

昔?新ゴールドプランがあった(1)

1989年、厚労省は高齢化社会を目前にゴールドプラン10カ年計画を制定しました。
ところが、当初の予想よりも高齢化が進んだため、1994年それが全面的に改定され、新ゴールドプラン(高齢者保健福祉計画)が制定されました。プランの重点は2000年4月の介護保険制度の導入で生じる新たな需要に対応するため、新ゴールドプランの柱は在宅介護の充実に重点を置き」というもので、介護保険制度も在宅介護が基本とされました。新ゴールドプランの特徴は、目標が数値で示されており、中でもホームヘルパーの目標人数は、平成11年に全国で17万人、平成16年には35万人とありました。確かに、介護保険法施行から3年位のホームヘルパー資格取得ブームはすさまじい物があったことを思い出します。どこの教室も満杯で、資格取得だけで言うなら、目標値達成率も7割から8割だったと記憶しています。
しかし、資格は取れても働き口はそんなにはなかった。その理由は様々あるだろうが、一つには社会的入院が続いていたこと、そしてなによりホームヘルパーの仕事が確立されていなかったことにあります。
2005年の介護保険法改正もあって、事業所の廃業やホームヘルパー不足が問題視され、資格取得者を介護の職場に呼び戻すとか、介護報酬のアップが検討されたりされています。私としても介護報酬のアップは切実に望むところではありますが、それが人手不足の根本原因かと言うと疑問です。
それは、今のホームヘルパーの仕事が、新ゴールドプランや介護保険法が掲げる、在宅を基本とした介護保険の最前線で働ける、魅力ある仕事ではないような気がするのです。
何よりもまず、国は言葉では「在宅が基本」と言うものの、実際の政策は一転二転し、必ずしも在宅が基本とは言いがたいものがあります。だからと言って、昔の措置時代のように「施設が基本」になったかと言うと、これもまた、財政難を理由に煮え切らない政策の迷走があります。
そして次には、ホームヘルパーの仕事に禁止事項が次々追加されることがあります。これは、介護保険法発足以来、不必要なサービスに対して規制が行なわれたり、不正な請求の防止の為に行なわれたりという妥当なものもありますが、居宅生活の上で有効なサービスが規制の対象になってしまったものもあると認識しています。たとえば、通院介助の規制、散歩外出の規制、同居家族のいる利用者さんに対する生活援助規制があります。中でも同居家族のいる利用者さんに対する生活援助規制は、介護予防の場合は予防の観点からは許されるのですから、現場での混乱を招いています。
そして、現在に至っては入院期間の規制が厳しくなるものですから、非常に難しい介護が必要な利用者さんが、老健などの中間施設での訓練抜きで、直接居宅に退院させられてしまいます。
はっきり言って、そのような事例に対応できるホームヘルパーはほんの一握りだし、そのような事例に対応できる訓練を受ける手段もないのが現実です。