入院は三ヶ月

入院は三ヶ月
当社の利用者さんの例に限らないが、「退院しても自宅に引き取れな
いと病院に言ったら、入院期間の限度は3ヶ月、他の病院を紹介しま
すので転院してください」と病院に言われたという話を聞く。
ここ数年の間に「入院できるのも三ヶ月」が常識の世の中になった。容
態や病名によっては、長期に入院できる療養型ベッドがあるのだが、
療養型ベッドの基準が難しいようである。だから、病院側?が退院出
来るようになったと判断しても、居宅で介護できないとなると、入院後三
ヶ月で転院か入所を余儀なくされる。もし病院がこのルールに従わな
いと病院に罰則が科せられるという話も聞いた。老人医療が無料であ
ったのは遠い昔、必要がないのに長期に入院する人が問題となってか
ら、入院の条件はどんどん厳しくなった。
さて、私の母はパーキンソン症候群と診断されている。まだ自室とトイ
レぐらいは自力で移動できるが、認知症の症状もきつくなってきた。こ
の仕事を始めて一年後に、施設から母を引きとり7年になる。幸いこの
7年間には入院するようなことはなかった。しかし、徐々にでも衰えてい
く母を考えると、このような入院の問題は自分自身の問題でもある。
今から10年以上前まだこの仕事をしていなかったころ、山崎章郎先生
の「病院で死ぬということ」という本を読んで感銘を受けた覚えがある。
当時のキャッチコピーは確か「9割の人が病院で死ぬ」であったので、
それにつられて読んだ覚えだ。内容は、尊厳死やがん末期患者のホ
スピスの重要性をといたことが多かったように思う。
この本の時代とは、入院を取り巻く環境は変わった。だから、「病院で
死ぬと」言っても、中には三ヶ月入院後の転院を繰り返し、死期を待つ
場合もあるという。私は、病院を転々としながら死期を待つことが法に
合致しているとすれば、それは不条理なことだと思う。個々の病院の良
し悪しではない、転々としなくてはいけないことが不条理なのだ。だが
そんな中でも、最期は居宅でとの希望を訴える方が多くなっているとも
聞いている。今まででも癌末期の利用者さんのお世話をさせていただ
いたことはあるが、介護技術、医療との連携、御家族の心理的安定な
ど課題は多く、勉強させられることが多かった。入院、居宅、入所、ど
れが良いかは、利用者さんやご家族の条件によって様々だろう。しか
し、困難でも居宅での生活を希望される利用さんがみえるのなら、それ
を支えることが出来る会社になるよう、介護と配食で頑張って生きたい
と思う。