対するつもりはない。しかし、そのような考えの方の介護は、出来れば御免こうむりた い。なぜならバランスのよくない食生活は、体調を崩し、精神面でも不安定になりがちで 脳の働きさえも左右すると思っているからである。利用者さんの体調が悪く、精神面でも 不安定ならどんな介護もやりにくい。無論、利用者さん自身も気分がすぐれないに違い ない。 私は、この連載で食事の重要性や効用、食べやすい食事の作り方を書いてきた。しか しそれで寿命が延びたり、病気が治るなどとも思っていない。ただ、今日一日利用者さ んが危険なく、落ち着いて暮らしてくれればいいと思って調理や介護にあたっている。そ して当社の利用者さんは独居が多いので、食事は私たちホームヘルパーが提供する食 事だけのこともあるので、内容にも十分に気を使っている。好き嫌いの激しい子供に、 嫌いな物を騙して食べさせるようなことはしていないが、嫌いな物が多い利用者さんに は、なんとか別の惣菜でバランスがとれないかと工夫をしている。 私は、要介護になってしまう原因に生活習慣があるように、この頃感じている。別に利用 者さんの好き嫌いを無視するつもりはないが、例えば饅頭しか欲しがらない利用者さん に饅頭だけを提供していてはいけないと私は思っている。なんとか調理や盛り付け、声 かけなどを工夫してバランスのよい食生活に持っていくのがホームヘルパーの仕事だと 思う。もしそれが出来ればその達成感はきっと大きな物だと確信している。きっと色々な 面で、利用者さんの生活が改善されるからだ。 「もう歳だから好きな物を食べさせたら」この言葉には説得力がある。「もう歳だから」を 「もう長くないから」という言葉に置き換えることも出来る。「もう長くはないから」と覚悟を 決めて死を迎えるのもいいだろ。しかし、「明日もあるから」と眠ってしまって、眠ったまま 死を迎えてもいいだろうとも思う。 別に好きな饅頭を全て取り上げる必要はない。饅頭しか食べないと言っている利用者さ んにも、キチンとした食事を提供して適切なサービスをすれば、ある程度バランスの良 い食事を摂ってもらう事は可能であると思う。なぜなら、いくら今は饅頭しか食べないとし ても、子供の頃から饅頭だけで生活してきたわけがないからである。きっと体が必要とし ている食べ物が欲しくなるに決まっている。その為に、調理や介護の技術を学び研究を 重ねたいと思っている。おかげさまで配食の注文が多くなってきた。料理が美味しいと言 ってくださる利用者さんもあるが、味付けなどで注意を受けることもある。その度に工夫 しながらこの仕事を続けて行きたいと思う。 |